2015年5月26日火曜日

NPOに対する組織コンサルティング

1年生の必修であるOrganizational Process(組織プロセス)の授業の最終プロジェクトで、ボストンの企業に対して、組織コンサルティングを行った。

実際のプロジェクトの内容について、クライアントを非営利団体(NPO)
のX社のA部門として紹介したい。


A部門のヘッドから課題として提示されたのは、"マーケティング力が弱いため、クライアントが減っている。それにあわせてアメリカ政府からのファンディング額が減っている"というマーケティング上の課題であった。

新しいパンフレットをつくるとか、Facebookでのキャンペーンのために予算をつけるとか、どのようなマーケティング戦略をとるべきかという方法論に飛びつくのではなく、根本的な課題/要因は何なのかを見極めることからスタートした。

今回は組織プロセスの授業だったので、意図的に焦点をそこにあわせているが、実際のビジネスでも、事業がうまくいかない時に、営業/マーケティングのやり方が悪いという単純なものではなく、組織がうまく機能していないことが原因であるケースが多い。

我々のチームは、X社のA部門、他部門、クライアントに対して、総勢17回のインタビューを行い、以下の3つの課題を特定/整理すると共に、それぞれの課題について、解決策の提案を行った。

【提案①】A部門のミッションをX社のミッションと一致させ、統合する
 - Align and Integrate the mission of A department with X company
【課題①】X社の他部門はA部門が何をしているかわからない。A部門のやっていることがX社の方向性/ミッションとどう合致しているのかがわからない
【解決策①】A部門のミッション・ステートメントを作成する。クライアントへのアンケート調査にX部門の事業に関連した質問を組み込む。A部門の提供するサービスのリストを作成し、X社のクライアントに通知する。

【提案②】A部門の中で、コア・バリューを共有し、団結したチームをつくる
- Build a cohesive team based on core values
【課題②】A部門はプロジェクトベースで動いており、モチベーションの維持は個々の熱意に委ねられている。A部門には組織文化がない。A部門では人間関係を深める機会がほとんどない
【解決策②】DropboxやGoogle Documentを使い、資料や情報をシェアできる仕組みを構築する。A部門の営業以外のメンバーも現場(クライアント)を訪問するなど、グループでの活動を設ける。個人やチームの成果を表彰し、シェアする文化をつくる

【提案③】社内・社外との継続的かつ円滑なコミュニケーションを実現する 
- Communicate consistently to internal and external audience
【課題③】A部門の情報がX社全体に行き届いていない。X社の他部門はA部門が何をしているか知らない。A部門と他部門はばらばらにマーケティングを行っている。
【解決策③】ニュースレターを発行し、A部門の実績と今後のプロジェクトをX社全体にシェアする。X社のPR(Public Relations)部門と定期的なミーティングを持ち、共同で情報発信を行う。X社のクライアントに対して、A部門の事業内容を宣伝し、ブランド力を高める


以上が我々が行った提案の概要である。組織プロセスは普遍的な理論/正解があるわけではなく、組織毎のカスタマイズが必要になるので、アプローチの再現性が低い印象を持ちがちだ。しかし、自分としては、根本的な課題(イシュー)が何なのかを徹底的に突き詰め、組織プロセスから課題にアプローチする有効性を実体験できた点がよかったと思う。結果として、我々の提案は、A部門のチームの中で発想として出てこなかった点が多く、非常に満足してもらうことができた。

卒業まであと10日!!!

P.S. ハンガリーのブダペスト



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