2015年6月3日水曜日

営業で会社を成功に導く- アメリカと日本の営業カルチャーの違い

Entrepreneurial Salesという今学期とった授業が、非常に面白かった。

セールスの授業なので、セールステクニック的なものも教えてくれる。2人1組で営業のデモンストレーションを行い、ビデオで撮影する課題が複数あるので、アメリカ人の営業スタイルを見ることができて面白い。半分ショーみたいに大げさな人も結構いるし、顧客の前で足組んで堂々としているので、日本との違いを感じる笑。

例えば、顧客知識と営業スキルでは以下のものが挙げられる。

顧客知識
  • 誰が意思決定者なのか、あらゆる角度から会社の情報をおさえる
  • 大企業の場合、どういう人が意思決定に関わっているかをおさえる。例えば、使いやすさを重視する実際のユーザー、IT部門など技術スペックを気にする部署、購買部/財務部など製品価格を気にする部署、リスク管理部や法務部などリスクを気にする部署、外部のコンサルタントなど
  • クライアントが何を知りたいのか、Financial impact、Operational impact、Business impactの中から注意深く観察する。従って、売り込むより、クライアントの話をよく聞き、コンサルテーションすることが重要
営業スキル
  • 他社製品をけなさない(過去にその製品を使った可能性もあるため)
  • 他社製品を一度褒める(2000年代前半はすばらしい製品だったんですよね〜)
  • 顧客とのパートナーシップを強調し、共通の敵をつくれ(例えば、リテールに営業する時は、我々の製品はハイスペックで御社で扱う製品としては最適です。パートナーシップを組んで、一緒にウォールマートを倒しましょう)
  • 営業はショーだと思って、製品への深い情熱を示せ
  • 自社製品のメリット/デメリットをあらかじめ整理し、顧客からの質問に対する対応に備えよ
  • ミーティングの目的を常に意識し、契約までの最大の障壁を少しずつ取り除け
  • NOと言われたときにも諦めるな。NOの裏にある理由をサーチせよ。リカバリーするためにクライアントの誰に会うべきか、自社の誰を連れていくかを意識せよ

これらは日本で巷に溢れている営業テクニックの本を読んでも見つけられると思う。自分もベンチャー時代は、誰にも教えをこうことができないので、営業本を20冊くらい読みあさっていた笑。

この授業で最も面白かったのは、営業マネジメントだ。授業では幅広い営業のトピックを扱い、毎回、あなたならこのケースでどう対応する?と問われる。特にスタートアップは資金が限られているので、間違った経営判断が命取りになるケースがある。

例えば、1)営業の割当は、地域ごとにすべきか、クライアントごとにすべきか、2)日本の代理店が全然ノルマを達成できていない。契約を解除すべきか、そのリスクは?、3)成果が上がらない営業がいる一方で、6ヶ月以内に大幅売上増をチームのノルマとして達成しなければならない。人材の採用からトレーニングまで通常3ヶ月はかかる。この人材を解雇すべきか?、4)セールスを初年度に10人採用する。どの州に何人ずつ割り当てるべきか?その理由は?、5)現状は、電話営業のチーム(Inside Sales)のみ。外回りの営業チーム(Field Sales)をつくるべきか否か。

ケース毎の会社の業種/事業環境から、適切な戦略を考えるのだが、クラスメートの中でも意見が割れるので、非常に面白い。

この授業を通じて、アメリカの営業について印象に残った点を2点ほど紹介したい。

アメリカの営業における厳しい成果主義
アメリカの営業はハイリスク、ハイリターン型の仕事だと思う。色々なケースを読んでいると、基本給$150,000(約1,800万円)、成果給$150,000(約1,800万円)という会社がいくつも出てくる。正直、こんなにもらえるの!?って思うが、その裏には厳しい成果主義があり、成果を出せないとすぐにクビになる。特にスタートアップでは、成長フェーズ(シリーズB以降)で営業の採用を強化するので、間違った人材を多く抱え込むと、売上が上がらないけど、給与を支払わなければならない状態に陥り、資金が枯渇するリスクがあるため、徹底的な成果主義がとられている。

ただ、こうしたノルマ主義の弊害があるようで、実際のケーススタディーでも以下のようなケースを扱った。
"ある営業マンが、会社が販売を強化している新製品の営業を行わず、解雇されてしまった。すると、複数のクライアントから、彼がいないのであれば、もう取引はしないと抗議された。この営業マンは、顧客のニーズにあうもの以外は売ろうとせず、性格的にも穏やかでクライアントに好かれる人だった。あなたはこの営業マンを解雇すべきだったと思うか?"

科学的に組織されたアメリカの営業
アメリカの営業は科学的に組織されていると思う。営業を細かいプロセスに分解し(Sales Funnel)、各プロセスにおける成功/失敗の統計をとって最適化したり、自動化できる部分はどんどん自動化していく仕組みが整っている。日本でも多くの企業でセールスフォースが使われているが、アメリカはセールスフォースを中心とする営業・マーケティングのサポート・自動化ソフトのエコシステムがすごい。例えばこのスライドを見ると、顧客管理ソフト(CRM)ならInsightly、顧客へのアプローチを強化する(Lead Management)ならHubspotなど、ニーズに応じた様々なソフトウェアを見つけることができる。

卒業まであと2日!!!

P.S.  アメリカのアンテロープキャニオン、レイクパウエル、モニュメント・バレー







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